令和6年8月29日 鎌形学園裁判 控訴審判決言い渡し
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人(学園)の負担とする。
東京高等裁判所の判断
2
(1)『教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律』2条3項に該当するとは認められない
「当該行為は『教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律』2条3項4号イの衣服その他の身に着ける物の上から人の性的な部分に触れる行為に当たるものと言わざるを得ない。もっとも、当該行為は体育の授業中になされたものであることは当事者の間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば、他の生徒の面前でされた行為であると認められるものの、体育の授業におけるルールに違反した男子生徒ら(本件生徒2名)に対する指導としてされたものである上、本件2名がこれによって性的羞恥心を害されたと認める証拠もなく、通常人においても、被控訴人の行為が性的に不快なものと感じるものであったとは直にはいえない」「そうすると、当該行為が、同号の『児童生徒等を著しく羞恥させ、若しくは児童生徒等に不安を覚えさせるようなもの』に該当するということはできない」
(2)本件懲戒解雇は懲戒権濫用で無効と判断(免職処分は懲戒権の濫用と認定・客観的合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない)
P4~5「指導や懲戒の場面であっても禁止された体罰をしており、教諭であれば当然認識しておくべき基本的な事項について認識を欠いていたと認められる」が「児童生徒性暴力に該当するとは認められず…生徒2名が学校指定のTシャツの持参に関わる…①指導方針に違反したことを理由に行われたものであり、指導の必要性を全く欠いたまま行われたものではない…②明確な傷害結果は生じておらず、その学生生活に大きな影響が生じたとも認められない…③保護者や入学希望者からの評判に具体的な影響を及ぼしたことを認め足りる証拠もない」「免職とするには重すぎるといわざるを得ず、本件懲戒免職は、客観的に合理的な理由を欠いていると認められ、社会通念上相当であると認め難いから、本件懲戒免職は…懲戒権を濫用したものであって無効といわざるを得ない」
(3)学園が高裁で新たに主張した普通解雇の有効性は認められない、解雇無効と判断
P5「普通解雇としても客観的に合理的な理由を欠いている…社会通念上相当であるとは認めがたいから…普通解雇したとしても、当該解雇は…解雇権を濫用してされたものであって無効であるといわざるを得ない」
3 よって、原判決(千葉地裁判決)は相当であり、本件は控訴理由がないことからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。
判決申し渡しに多くの方が傍聴に参加して頂きありがとうございました。
学園側は、控訴したにも拘らず、被控訴人の学園側は誰も参加せず、弁護士も欠席する状況なので裁判後、組合側から『鈴木教諭を早期に現職復帰させよ。上告をするな。など』要請書と判決を学園に送付し、9月4日に団交を実施しました。
団交での学園の回答要旨
- 判決は9月2日に学園に届いたばかりで、これから校長事務長会議を開いて検討し理事長が判断するので本日は回答できない。
- 理事長に渡してある。まだどうするか見解は聞いていない。
- 理事会は、毎月は行っていない。この件で理事会は予定していない。理事には理事長の決定を通知する。異議が出されれば検討することもある。職員の解雇は理事会の検討事項ではない。理事会が開かれるタイミングにあえば理事会で検討することはある。本校は懲戒委員会がないので校長事務長会議で検討し理事長が判断することになる。
・組合側から9月下旬の団交申し入れに「無理ですね」と簡単に学園側が答えたところ、鈴木先生は「学園は2週間で私の懲戒免職を決めた。なぜすぐに判断できないのか。2年もの間解雇され心身とも非常に厳しい状態に置かれた。学園は人権をどう考えているのか」と問いただした。
学園側は、沈黙
組合は、地労委は争点整理の段階であり、地労委前に労使で意向を確認する必要があると申し入れた。その結果
- 上告するかしないかは2週間以内に判断が必要になる。組合の「9月下旬から10月7日地労委期日前に団体交渉で理事長の意向を確認したい」との要請に対しては日程調整して応じるようにする。
- 上告するかしないか対応を決定したら文書で回答する
- その他
9月6日10時26分 学園側 遠藤弁護士から鈴木側弁護士に電話があり、「定年までの給与を支払うことで和解ができないか」との提案。 鈴木先生側の回答は、拒否する。
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