2012年(平成24年)2月28日(火)号
昨年(2011年)9月14日に行われた団体交渉の様子の続きをお伝えします。
組合:まず、酒々井校の賞与が前年にたいして0.7ヶ月アップの4.3ヶ月となったことは組合として高く評価する。しかし、その前年、船橋校では同じ状況下において0.5か月分のアップとなっている。従って、公平性という観点から、昨年度の基準で0.2か月分を12月の賞与に上乗せすることを要求する。
経営:即答できないので、理事会で検討する。
組合:補足すると、格差についてはもともと反対だが、酒々井校の校長と事務局長が頑張ったから0.7のアップになったと言うのは、では船橋校の校長、事務局長は何をしていた、と言うことになる。人間関係の軋轢を生じかねない。それを解消すると言う意味もある。理事会はいつ開く予定か。
経営:0.7上げたのではない。0.5上げて、差がありすぎると言うことで、0.2上乗せしている。誤解しないで欲しい。
組合:それならば船橋も0.2の上乗せがあってもよいはず。0.2分の内容は?
経営:酒々井だけの問題にして欲しい。今年度は他校がいずれも4.5ヶ月になった。バランスの問題である。
組合:バランスを言うのであれば、浦安4.5ヶ月、酒々井・船橋3.6ヶ月の時の方が問題である。理事会はいつ行われる予定か。
経営:12月上旬。
組合:それでは交渉が間に合わない。また2ヶ月もあいてしまう。我々の要求は進まない。誠意が感じられない。
経営:12月の賞与では、分からない。出すとしても年度の終わりで、と言うこともある。理事会の審議が必要。
組合:9月の要求の回答を何故12月まで待たなければならないのか。誠意を見せるのであれば臨時の理事会を開いて欲しい。これでは話し合いができない。
経営:いつやるとも言えない。
組合:日にちはともかく、臨時で開催するという約束はできないのか。
経営:そのような意見があったことは理事長に伝える。
組合:報告だけか、理事としての個人的な見解はないのか。
経営:個人的な見解はいえない、理事長にはきちんと話す。
組合:その結果はいつ返事がもらえるか。
経営:今ここでは答えられない。
私教連:今回はとても大切な団交である。拒否せずに開催していただいたことに対して敬意を表したい。今交渉している問題、このようなやり取りが労使間の溝を深くしていることを認識して欲しい。組合が「いつまでに?」と聞いても、「努力をするが分からない」という答えでは交渉がスムーズに運ばない。こういうことには速やかに答えることが労使間の溝を埋めていくことにつながる。
組合:それで、いつごろになるのか。
経営:今は答えられない。理事長に伝えることはできるが私どもにはいつとは答えられない。
組合:では今月中に返事がいただけるよう要望する。
「希望退職制度」についてだが、問題にしているのは21年4月付で出た学園の文書である。この文書には21年度の付加率を21年度の年収(交通費を除く)に対する%である、という内容の通知であった。ところで、この通知の上位の規則(最新では18年度就業規則等)には教職員希望退職規定が存在している。この中には、「この制度の適用を受けて退職するものには、退職金に次の付加率を乗じた額を支給する」「なお、この付加率は当分の間、暫定的なものとする」とある。これは二重規定ではないのか。この場合は上位の規定が生きるのではないか、と言うことは新たに出したものは無効ではないのか。さらに、23年4月1日に改定になった規則にも「退職金」が基準になっている。何故21年のものが「年収」であったのか、お答え願いたい。
(*わかりにくいところなので、解説を後ろにつけます。)
経営:これは、希望退職制度が13年の規定集に紛れ込み、またこの付加率についてはそのとき以来変わらずにきたために、18年に問題になったと記憶している。付加率は本来別表にすべきであるが、今回は見送ることにする、再度機会を見て、と言うことになった。これは希望退職だから、毎年やることではないと言うことで、変わる可能性があるという認識で出していた。学園はその当時、付加率は別の問題であると解釈していた。その結果、21年と22年はそれぞれ付加率を変えた。その後、条文もおかしいと言うことで23年度の規定に変わった。
組合:答えになっていない。退職金が基準であったものを前年の年収に変えた。何故変えたのか、手続きに問題はないのか、と言うことである。就業規則違反ではないのか。二重規定の場合、どちらが有効なのか。
経営:記憶では、局長会や理事会で取り上げ、変える、という形をとった。就業規則の改定ではないか、という審議もあったが、付加率は別途のものであり、意見書を求めるものではない、ということになった。
組合:20年度はやらない、と口頭で言って、21年度からは前年度の年収を基準にしてすでに払ってしまっている。本当に就業規則に違反していないのか。
経営:付加率については違うので、労基署には届けていない。
組合:前規定集には表も含めて印刷されている。にもかかわらず表だけ別物と言えるのか。さらに、今年改定したものには「なお、この付加率は当該実施年度において別途指示する」という項目が付け加えられている。これは前規定に不備があったことに気がついたからではないのか。
経営:希望退職で、早期退職とは違う。早期退職であれば届ける必要があるが、この率については年毎に違うこともある、と解釈している。
(*言葉が違うだけで内容は同じです。早期退職者も希望を聞かれて適用されていますから。惑わされないでください。)
組合:就業規則である。労基署に届けていないと言うことは、18年の制度が生きていると言うことである。その無効であろうと思われる制度を適用されて退職した先生が何人かいる。
経営:言っている事は分かる。
組合:ではどうするのか。
経営:ただ、希望退職なので・・・。
組合:規定も希望退職になっている。E理事、どう考えられるか。上位の規則があるのに、通知で違うことを言っている場合、どちらが有効なのか。
経営:・・・・・・。
組合:1000万から違ってくる。もし違反ならば彼らは請求できる。
経営:それはありえる。ただ、学園の考えは言ったとおりである。
組合:希望退職だから、付加率は就業規則どおりでなくても良いと解釈しているのならば、何故適用除外を作るのか。何故、結婚、出産で退職する場合は適用外になるのか。希望退職に理由などあるのか。まさか変形労働時間などの届出時に紛れこませたりはしていないでしょうね。
経営:それは無い。
(*18年度の就業規則、規程の改正の時にやりました。)
組合:労基署に届けずに一方的に変えることはできない。それを変えたのは理事会の責任。就業規則の中には別紙を参照と言うのが出てくるが、この別紙も就業規則である。別紙だから付則だから自由に変える事ができる、というのであれば、何でもできてしまう。
これを適用されて退職した先生方は不利益を被っていることになる。詐欺と捉えられる可能性もある。
経営:詐欺ではない。
組合:では何故きちんと手続きをしなかったのか。
私教連:この件の組合の指摘はかなり正当なものである。早急に調べる必要がある。これは理事会の責任であるから早急に臨時の理事会を開いて答える必要がある。今月中を目処に答える必要があるのではないのか。そうでなければ組合はやむを得ない行動をせざるを得なくなる。
経営:今月中は・・・。
組合:できるだけ早い返事をお願いする。
今回は組合のペースで交渉しました。ところが・・・・・・・
*わかりにくいところの解説
学園希望退職(早期鎌形退職)規定について
・平成12年にベースアップ停止をしたが、一方では50歳から64歳までを対象者とした早期退職制度が始まった。これが平成18年度規定では下記表のようになり、これを用いて平成19年度3月に数名の先生が退職された。
付加率は、退職金総支給額に次の付加率を乗じた付加金を加算して支給する。
年齢 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 |
付加率 | 70 | 75 | 80 | 85 | 90 | 110 | 110 | 115 | 115 | 115 |
年齢 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | 63 | 64 |
付加率 | 110 | 110 | 110 | 100 | 100 | 90 | 90 | 50 | 40 | 30 |
・平成20年度は実施しないことを口頭での発表のみで中止。
・平成21年度は、下記表のように適用対象を勝手に変え、『50歳から62歳まで』にし、付加率は『平成21年度の年収(通勤費を除く)に対するパーセント』とした。
年齢 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 |
付加率 | 95 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
年齢 | 60 | 61 | 62 | |||||||
付加率 | 100 | 50 | 50 |
・平成22年は、適用対象を『45歳から62歳』までにし、付加率は『平成22年度の年収(通勤費を除く)に対するパーセント』
年齢 | 45 | 46 | 47 | 48 | 49 | 50 | 51 | 52 | 53 | 54 |
付加率 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
年齢 | 55 | 56 | 57 | 58 | 59 | 60 | 61 | 62 | ||
付加率 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 50 | 50 |
このように21、22年度は就業規則の不利益な変更を一方的に行い、職員に説明や周知を行わず、職場代表も選ばず、労基署にも届けていない。
不利益の程度
[仮定]18年度の就業規則希望退職制度の場合
大学を出て、59歳で早期退職した場合、退職金総支給額に付加率100%を上乗せした。
2000万円(退職金)+2000万円(付加金)=4000万円より
支給額 40,000,000円
[仮定]21年度の就業規則希望退職制度(労基署に届けていない)の場合
大学を出て、59歳で早期退職した場合、〈21年度の年収-交通費〉の付加率100%を上乗せした。
年収950万円-交通費24万円=926万円
2000万円(退職金)+926万円(付加金)=2926万円より
支給額 29,260,000円
よって、この差額は
40,000,000円-29,260,000円
=10,740,000円(差額)
ここで問題になるのは21年4月付の学園の文書である。この文書には21年度の付加率を21年度の年収(交通費を除く)に対する%であると書かれている。しかし、18年度にこの通知の上位の規程である教職員希望退職規程が存在しており、この中には、「この制度の適用を受けて退職するものには、退職金に次の付加率を乗じた額を支給する」、「なお、この付加率は当分の間、暫定的なものとする」とある。つまり労基署に提出した18(19)年度のものと、提出していない21、22年度のものと二重になっている。このような場合は上位の18(19)年度の規程が生きるのではないか、とすると21、22年度の規程は無効になり、これによる上記のような不利益を被った先生が2名いることになる。それを裏付けるかのように昨年の23年4月1日に改定になった規程でも「退職金」が基準になったままであった。
今回24年2月16日の朝の打合せ発表内容についての問題点
(1)23年4月1日改定について結婚や出産で退職する場合はなぜ適用外になるのか、希望退職に理由などあるのかと疑問をなげかけた。これについて今回は、削除して改定している。しかし、「その他、適用と認められない事由のある者」は残った。これでは、経営者サイドで具体的な説明がなく、どんな理由でも付けられるのでは?との懸念がのこる。
(2)第5項目発表時期についても「年度当初」からが「できるだけ早い時期」、第9項目の特別措置も「この制度の適用を受けて退職する者には、給与及び退職手当等規程により支給される退職金に、実施する旨通知する文書に示されている付加率を加算する」であり、付加率の表が示されていない。これでは今までの現状を見ても経営者の考え方一つで操作可能な状態である。
(3)なお、ベースダウンをしたのが16年度であったが、本学園だけが独自に15年度から17年度に限り勤続25~29年の退職金掛け率があがった。18年度には千葉県の退職金財団に再び揃え、この部分は元の値に戻り勤続31年以上の掛け率はダウンし、現在最高50か月の掛け率となり10か月分も下げたこともわかった。
※ホームページ掲載に当たり、一部レイアウトの変更をしました。
コメント